
「海上で生まれた損害保険」
損害保険の始まりについては、様々な説があります。特に有力なのが、紀元前300年頃に、古代ギリシャの海上で誕生したというもの。当時の海上輸送は、海賊の襲来や嵐の直撃など、予期せぬ危険と隣り合わせでした。
遭遇した場合には、船と乗組員を守るために、やむなく積荷を海に捨てることも多かったといいます。そこで生まれたのが「船主と荷主の双方が、損害を負担する」という習慣。どちらか一方だけが被害をこうむることがないように考案された、助け合いの知恵だったのです。
その後、12〜13世紀頃の地中海沿岸地域の港で発展したのが『冒険貸借(ぼうけんたいしゃく)』と呼ばれる仕組み。現在の海上保険では、最初に掛け金を払い、事故が起こった場合に保険金が支払われます。しかし、冒険貸借では、お金の順序が逆です。借入金として保険金を先に受け取り、無事に帰港すれば、利息とともに返済するというシステムでした。万が一、航海中に事故が起こった場合には、借入金を返済しなくても良かったのです。

「海から陸へ!ロンドン大火がきっかけ」
火災保険誕生のきっかけとなったのが、1666年にロンドンで発生した大火事。パン屋のかまどから燃え広がった火が、ロンドン市内の約8割以上の建物を、燃やし尽くしてしまいました。
木造建築が多くを占めていた当時のロンドン。大火を機に、現在のようなレンガ建築の町並みに姿を変えていくこととなります。被災したロンドンの復興が進む中で、火災保険の仕組みが確立され、急激に普及していきました。
大火の翌年には、医師のニコラス・バーボンが、世界初の火災保険引受会社『ファイアー・オフィス』を設立しました。損害への補償方法は、現在のような金銭によるものではなく、建築業者による再建・復旧であったようです。
当時の保険料は、掛け金の徴収漏れを防止するため、家賃に含まれていました。また、木造建築とレンガ建築では、耐火構造に違いがあるため、保険料には2倍ほどの差が設けられていたといいます。
